土塩(つちしお・つっちょ)の由来
前号と同じ『西頸城郡の伝説』に「土塩」の由来が採録されています。「…土塩は、昔海がこの所まで入り込んでいた頃、塩を採った所である。…」
こうした、入江伝説はいくつか確認できますが、早川谷が海であったのは人類史以前であることから、この伝説には無理があります。
もちろん「塩」とくれば「海」であり、それに由来した地名は多くあります。しかし、以外にも「海無し県」の長野県、栃木県、山梨県、岐阜県などに「塩」の付く地名を多く確認できるのです。
「塩」には「もろい」、「苦い」といった意味もあり、必ずしも「海」を関連させる必要は無いようです。地名の研究では「塩」の付く地名は「塩類泉」、「たわんだ地形」、「楔形の谷の奥」、「川の曲流部」などに由来するとした学説もあり、「土塩」もこのような由来によると考えた方が良さそうです。
「土塩」は埼玉県滑川町、群馬県安中市にもあり、いずれも海から遠く離れ、滑川町土塩は荒川支流で平地と山間部の接点、安中市土塩は烏川支流の谷間に少し開けた平地で、私たちの土塩と類似した景観のようです。しかも、フォッサマグナ帯にあり、数千万年前は海であったことから、塩類泉などが湧いても不思議ではないでしょう。
自分の住んでいる地名の由来を調べるのもなかなか面白そうです。
記:木島 勉
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※本記事、上早川の歴史と伝統」は上早川広報「ほこんたけ通信」の連載記事として掲載される内容を本ブログにも投稿しています。お問合せは上早川地域振興会事務局(上早川地区公民館内)025-559-2002までどうぞ。
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