標高1189.5mの放山へは、山頂リフト乗り場から1時間30分ほどで辿り着ける。この山はバックカントリースキーを楽しむスキーヤーやボーダーに愛されており、遠く三重県から通うスキーヤーもいるほどだ。シャルマン火打スキー場からはリフト往復500円で行くことができる。笹倉温泉側からも2~3時間ほどで登ることが出来るそうだ。
この日は絶好のハイキング日和で暖かく、青空も広がっていた。スノーシュー(西洋カンジキ)を登山靴に装着し、雪解けで締まった雪原を歩く。スキー場のゲレンデの奥から進むのだが、2月や3月のパウダースノーの時期とは違い、すでに地面が見え隠れしていた。少し下るとなだらかな雪原が広がっている。スギやブナなどの樹木に日が当たり、雪原に縞模様を作る。地形を考慮しながら、先行者のスキー板などのトレースを頼りに進んでいく。
途中、急な傾斜も出てくるがスノーシューに付いている歯を食い込ませ、しっかりと歩を進める。そこから尾根へ上がり、稜線へ出ると景色が一変し、目の前に雄大な火打山と焼山が連なってそびえ立っているのが見えた。しばらくの間その雄大な景色に吸い込まれて立ちつくしていた。
歩き出すと、一際目立つ山の出っ張りが見えてくる。放山へ向かう途中にあるシンボル的存在で唯一の注意すべきエリアではないだろうか。左は絶壁、右はやや傾斜になっているのだが、まるでおにぎりのような出っ張りである。注意と言っても幅は十分にあるので下手なことをしない限りは安全であると思われる。
その出っ張った山の頂に立つと、目的地、放山の山頂が見える。既に山頂はバックカントリー客でいっぱいだった。
山頂へ到着し、火打・焼山を背にすると今度は眼下に広がる早川地区が一望できる。素晴らしい景色だ。目の前には鉾ヶ岳と権現岳がそびえ立っている。遠く佐渡島や能登半島まで見渡せる。 糸魚川市街上空には雲海が広がり、早川だけが晴れ渡っていた。
しばし山頂で昼食を食べ談笑したりしていると、日本海側から怪しい雲が立ち込めてきた。私達の眼下にそれは行きわたり、早川を埋め尽くした。素晴らしい雲海だ。下界は曇って暗くともここから見える景色は絶景だった。鉾ヶ岳上部がひょっこり顔を出していた。
すると笹倉温泉の駐車場には放山を満喫したあとのスキーヤーが片付けをしていた。能生からはるばる早川まで移動してきたのだが、そんなことをしなくとも早川へ降りられる選択肢もあるのだ。
私達の住んでいる上早川からこんな別天地へ行けることに幸せを感じてならない。雪のある季節限定で歩けるこのハイキングコース、行ってみてはいかがだろうか。来年は笹倉側から登ってみる予定である。
手記:金子修子
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